「この場合の手続きって、どうするんでしたっけ?」「標準仕様の断熱材は、どれでしたか?」。社内で毎日のように飛び交う質問に、ベテラン社員が手を止めて答えていませんか。
第5回は、社内のマニュアルや仕様書をAIに読み込ませ、質問すれば答えてくれる「社内Q&A」の作り方を紹介します。第3回で触れた「人を早く育てる仕組み」の、いちばん始めやすい形です。
社内Q&Aとは

社内の資料をまとめてAIに渡しておき、社員が文章で質問すると、その資料の中から答えを探して返してくれる仕組みです。ChatGPTの「プロジェクト」や、Googleの「NotebookLM」のように、資料を読み込ませて質問できる機能を使えば、システム開発をしなくても始められます。
ふつうにAIに質問するのと違うのは、「自社の資料にもとづいて答える」ことです。一般論ではなく、自社のルールや仕様に沿った答えが返ってきます。
使いどころ
- 新人の「聞きにくい質問」:手続きの順番、書類の書き方、社内用語の意味など。先輩の手を止めずに、自分で調べられます。
- 標準仕様・オプションの確認:仕様書や価格表を読み込ませておけば、打ち合わせ前の確認がすぐに済みます。
- 社内ルール・手続き:経費精算、休暇の取り方、現場の安全ルールなど、総務への問い合わせを減らせます。
- お客様対応の下準備:よくある質問と回答例をまとめた資料を入れておくと、営業が回答を考えるときの土台になります。
作り方(3ステップ)

1. 入れる資料を選んで整える
最初は、質問が多い分野の資料を数点に絞ります。古い版と新しい版が混ざっていると、AIが古い情報で答えることがあるため、最新のものだけを入れます。紙しかない資料は、スキャンしてPDFにしておきます。
2. 資料を読み込ませ、答え方のルールを書く
資料を読み込ませたら、「どう答えてほしいか」を最初に指示しておきます。特に大切なのは、資料にないことは「わからない」と答えさせることと、答えの根拠になった資料の名前を示させることです。
あなたは当社の社内問い合わせ窓口です。
読み込ませた社内資料だけをもとに、社員の質問に答えてください。
・答えの最後に、根拠にした資料の名前とページを書く
・資料に書かれていないことは、推測せず「資料には記載がありません。担当者に確認してください」と答える
・新人にもわかるように、手順は番号付きで短く書く
3. 少人数で試して、資料を足していく
まずは新人と、その教育係の2〜3人で使ってみます。答えられなかった質問や、間違えた答えを記録しておき、足りない資料を追加したり、資料そのものを書き直したりします。使うほど、社内の資料も整っていきます。
使うときの注意
- 入れてはいけない資料を決める:お客様の個人情報、契約書、給与などの人事情報は入れません。
- 学習に使われない設定・プランを選ぶ:入力した内容がAIの学習に使われない法人向けのプランや設定で使います。
- 最後は資料で確かめる:AIは資料を読み違えることがあります。お客様に伝える内容や、お金・法律に関わることは、根拠の資料を開いて確認してから使います。
- 資料の更新担当を決める:仕様や価格が変わったときに、誰が資料を差し替えるかを決めておきます。
まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 使いどころ | 新人の質問 / 標準仕様・オプションの確認 / 社内ルール・手続き / お客様対応の下準備 |
| 作り方 | 資料を選んで整える → 読み込ませて答え方のルールを書く → 少人数で試して資料を足す |
| 注意 | 個人情報・契約書は入れない / 学習に使われない設定 / 最後は資料で確かめる / 更新担当を決める |
社内Q&Aは、ベテランの時間を守りながら、新人が自分で動ける環境をつくる仕組みです。まずは質問がいちばん多い資料1つから、試してみてください。
次回(11/12)は、「AIを使う側」に回る組織をつくるために、幹部が最初に決めておきたいことを考えます。
勉強会の様子を動画で公開しています
社内資料に質問して答えさせる使い方は、加盟店様向け勉強会「AIを使う側に回る一日」でも実際にデモを行いました。その様子を「JIHの取り組み」ページで公開しています。

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